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ヨーヨーデモンストレーションのメモ
修正 2005.11.5
typo修正 2005.11.4
初版 2005.11.3
eagle0wl

はじめに

本稿は、ヨーヨーのデモンストレーション(フリースタイルではない)を行う上で必要となる情報を纏めたものです。さまざまな資料や意見を参考にしていますが、主観がかなり含まれているため、あくまで参考程度と捉えてください。


フリーとデモの違い

●フリースタイル
競技性を重視
−主に大会などで行うもの
−観客はヨーヨープレイを見る目が肥えている場合が多い
−分かりやすいプレイよりも高度なプレイが評価される

●デモンストレーション
パフォーマンス性を重視
−主に宴会の席や文化祭などで行うもの
−観客はヨーヨーの知識を有していない場合が多い
−高度なプレイよりも分かりやすいプレイが評価される


デモに当たっての基本事項

ヨーヨーは、一般的なジャグリング道具と比較するとかなり小さくストリングも細く見づらいため、ヨーヨーと衣服の色は対称にしましょう(例:衣服は暗色系・ヨーヨーは黄色などの明色系)。同様に会場のバックの色もチェックするべきです(大会では通常、バックに黒幕を下げています)。

ストリングは新品を少し慣らしたものを用いること。プレイ中にストリングが切れるようなことは絶対あってはいけないのは勿論ですが、ストリングが黒く汚れていると印象が悪いうえ、成功率にも影響を与えます。

十分な予備ヨーヨーを用意すること。デモ中にヨーヨーを分解する姿はみっともないですし、予備があれば安心感も得られます。また、交換にかかる時間を減らすため、フィンガーホールを作って広げておくこと。

ステージなどで行う場合、照明によって目がくらんでしまう事の無いように事前にリサーチしておくこと。


トリックの選択

デモで見せたいトリックのリストを作成すること。フィーリングに頼っても、本当に見せたかったトリックを忘れてしまいます。自分がやりたいトリックやコンボを思いつくままにどんどん書き出していきましょう。ここでの注意点として、時代遅れのトリックや初歩的なトリックを取り込むことを恐れないでください。ヨーヨーを知らない人にとっては全てが新しく見えるので全く問題ありません。誰もが知っている「犬の散歩」や「ブランコ」であっても、知名度があるからこそ楽しませることが出来るはずです。上手いプレーを見慣れている我々プレイヤーの視点ではなく、新鮮な感動を味わう観客の視点に立って考えましょう

デモを行う環境や身に着けている衣装やアクセサリーなどを利用したトリックを入れると、意外性があって良いです(例:2005世界アーギーの帽子グラインド)。難易度の高さは二の次で、意外性が重要なのです。

繰り返し系のトリック(例:バレルロール・ブッダリベンジ・ボヨンボヨン)は、自分が行っているトリックを観客に理解させやすい上、拍手をさせる機会を与えることも出来ます。このとき観客に目配せを行って「拍手寄こせオーラ」を発信しましょう(例:2003世界ジョニーの1:33〜)。


1A (シングルハンドストリングトリック)

最もメジャーで歴史も長く、万人に受け入れられやすいスタイルです。現在の1Aはバインド必須のセッティングが主流ですが、デモの場合であればバインドなしの古いスタイルも捨てがたいところです。

○バインドなしのセッティングの場合
リジェネレーション・ルーピングプレイを織り交ぜた旧ハイパーヨーヨー時代のスタイルが良いでしょう。従って、(高度なトリックに特化された)1Aというよりも(ストリングプレイ・ルーピングプレイの両方を行う)シングルプレイと呼ぶ方が適切かもしれません。それゆえ高度なストリングプレイは出来なくなりますが、デモにおいてはそれほどデメリットにはならないでしょう。

○バインドありのセッティングの場合
バインド仕様により高度なプレイが可能となるため、構成に複雑なトリックを入れたいところですが、ヨーヨーを知らない人にとってはカミカゼもホワイトブッダも同じトリックに見えてしまいます。複雑なトリックを絶対入れるなと言いませんが、やりすぎると「すごいけど、何をやっているわからない」「ここまでくるとキモい」といった印象を与えかねません。余談ですが、筆者は「何をやっているか分からないけど、失敗している所は分かる(笑)」というありがたいツッコミを頂いたことがあります。

○お勧めトリック
・アラウンドザワールド
・フライングソーサー(UFO)
・グラインド(腕の上を転がるタイプが良い)
・ボヨンボヨン(アピールのチャンス)
・イーライホップ
・キャンディレイン

2A (ツーハンドルーピング)

派手で分かりやすく、両手を使うスタイルであるため最も一般受けします。2Aをこなせるのであれば是非取り入れましょう。ただ、どのトリックもぐるぐる回すという点でビジュアル的に似たり寄ったりになってしまうため、2Aオンリーでデモを行う場合は相当構成を練らない限り途中で飽きられると思われます。よって、よほどの自信がない限り、他のスタイルと合わせたほうが良いでしょう。

2Aは視認性が高いため、大人数を相手にする場合――例えば全校生徒相手にステージ上でデモ――は離れた客席からも確認できるため最適です。逆の言い方をすれば、この状況下において2A以外のスタイルを選択することは厳しいでしょう。夜間でのデモや照明を落とせる会場であれば、ストロボヨー(YOMEGA)などの発光ヨーヨーを用いるだけでも注目度は抜群です。

○お勧めトリック
・2ハンドアラウンドザワールド(+派生系)
・テキサスカウボーイ
・レイオンバック
・サブマリン
・タングラー(+派生系:発光ヨーヨーを用いてのタンカマーは最高に美しい(らしい))

3A (ツーハンドストリング)

両手で複雑なプレイを行うため初回のインパクトは十分ありそうですが、スタイル自体が一般受けするものではないため、デモに取り入れることはお勧めできないでしょう。また、他のスタイルと比較しても、以下に示しているとおりデモを行ううえで障害となる短所も多いといえます。

・複雑系トリックが主体であるため一般受けしにくい
・他のスタイルと比較して成功率が低く高リスク
・失敗時のリカバリが困難(サムい間があいてしまう)
・トリックをスムースに繋げることが困難(単なる技の羅列になってしまう)

○お勧めトリック
・(あえて挙げるなら)ベルベットロール

4A (オフストリング)

「紐とヨーヨーは繋がっているもの」という常識を覆すスタイルであるため、それだけで大きなアドバンテージを持っています。したがって、ストリングが離れた瞬間から歓声が上がります。そこからトスアンドキャッチ(できればハイトスで)を行うだけでも、トリック自体の分かりやすさから十分受けを狙えるでしょう。同様に「ヨーヨーとストリングが繋がっていないにも関わらず、手元に戻せる」事も驚きの対象となるようです(筆者経験談)。

4Aの特性を生かすため、紐から離れるトリックをメインにすると良いでしょう(参考:山田淳史フリー)。失敗時のことを考えるとビッグヨー(YOYOJAM)を使いたいところですが、その大きさから「ヨーヨーらしくない」印象を与えることもあるようです。

○お勧めトリック
・ウィップ系
・ボヨンボヨン系
・トスアンドキャッチ
・2004世界川辺がやってた巻き取り
・グラインド

5A (カウンターウエイト)

(筆者は5Aがほとんどできないため未調査。スンマソ)


◆ ◆ ◆


一通りトリックの書き出しが終わったら、次はリストから成功率の低いトリックを弾いていきます。ここで言うトリックの成功率は100%が原則です。フリースタイルではミスしても減点されるだけですが、デモの場合でのミスは印象が悪くなるので致命的です。単調なデモにならないようにするため、見た目が似たトリックも極力はずします。ここでは簡単で成功率の高い方を残すようにしましょう。また、同じトリックは二回以上行わないこと(←フィーリングに頼るとやりがちです。注意)。


音楽

・デモとして適切か
大多数が不快感を覚えることのない曲が望ましいです。リズムを淡々と刻むタイプのテクノやトランスは人によって好き嫌いが激しいため避けた方が無難でしょう。政治色・宗教色の強い曲や、歌詞が不適切な曲はもってのほかです(悪例:死ね死ね団のテーマ、金正日将軍の歌、猛毒はたらくくるま)。特にヒップホップ系は、国内外問わず歌詞が不適切なものが多いので要注意です。

※海外では不適切な単語を含むバージョン(Explicit)と、不適切な単語を除去したバージョン(Clean)が用意されていることが多い。
・自分が乗れる曲か
自分が楽しめないと観客も楽しめません。自分だけが楽しいというのも問題ですが。

・ゆったりとした曲か
スピードプレイを構成に含める必要がなくなるため、素人目にも分かりやすいデモになります。また、ひとつひとつのトリックを確実にこなせるようになるため成功率も上がり、一石二鳥です。

・メリハリのある曲か
テクノやトランスのようにリズムを淡々と刻むものはデモ向けとはいえません。曲にメリハリがあればプレイ自体も見栄えの良いものになります。

・皆が知っている曲か
使用する曲は、皆が知っているものが望ましいですが、この条件を加えると制約がかなり厳しくなる割には効果は少ないので、余裕があるときに検討するのも有りです。テレビなどでよく流れるような曲に着目するのも良いでしょう(例:(track1)、iPodのCM曲など)。


構成

作成したリストを元にして、音楽に合うようにトリックを並べていきます。並べ方の注意点を記します。

似たようなコンボを連続して配置しない。また、見せ場となるトリックの前に成功率の低いトリックを配置しない(見せ場の前で失敗してワインダーに時間を取られることを防ぐため)。

トリックはゆっくり、大きく、わかりやすく行う。トリックビデオの速度で十分。ただし、メリハリをつけるために、スピードプレイも混ぜる。ブレインツイスターやピンホイール、アラウンドザワールドなどが良いかも。

無意味な”間”を作らない。コンボの途中で間が生じるとみっともない。ただし、大技の直前では、注目させるためにあえて間を作るのは有効。

観客に対するアピールは転調・休憩として有効(2004世界ブラックのサングラス投げ、2002世界ミイの土管)。

ミスに対するリカバリ(ワインダー)の練習も忘れないこと。ミスで生じた”間”を埋めることのできる小技を頭に入れておくと便利(例:ブレインツイスター、ウーキーコースター、ピンホイール)。できればミスをごまかす方法も考えておくとよい(例:紐が絡まったらロケットイントゥザポケット、イーライホップに失敗したらピンホイール)。


パフォーマンス

観客の大半はヨーヨーの動きに圧倒されるため、リアクションに困るようです(唖然としてしまうようです)。そのため、アピールを行ったり、前述したように観客に拍手をさせる機会を与えることは重要です。

棒立ちのままトリックを行うのではなく、なるべくステージを動き回るようにしましょう。おもしろいデモンストレーション/フリースタイルを行う人ほど大きく動き回っています。少し恥ずかしいかも知れませんが、観客はヨーヨーに視線を向けているので、大袈裟でも丁度良いぐらいです。

表情にも変化をつけること。ブランコ一つとっても、やり方次第で全然別のトリックに見えるものです。やるのであれば楽しく行うこと。大袈裟に振りかぶったりするのも有効。

練習でやっていないことは本番でもやらないこと。大抵失敗します。


参考・謝辞

ヨーヨー掲示板
つぼやき〜ハイパーヨーヨーやらなんやら
スピンギアメルマガ
ミイのヨーヨーレポート
Yo-Navi
Yo-yo Performance
筆者宛に寄せられたメールや、練習会で貰ったアドバイスなど
(名前を出してもいいと言う方はメールを下さい。本ページにクレジットを入れます)