ヨーヨーでどんなことができるの?

原文:yama@18
校正:eagle0wl
はじめに

本稿では、現代ヨーヨー事情を知るうえで必要となる基礎知識を紹介します。

「ヨーヨーでどんなことができるの?」と聞かれたら、その筋で最も有名なサイトである GIOY を見れば、だいたいの疑問は解決します。それで終わりかよと言われそうですが、GIOY にはそれだけたくさんの情報が蓄積されています。これも、管理者であるミイ君(全国大会運営代表、自身もヨーヨープレイヤーで2000年X部門世界チャンプ)の地道な積み重ねによるものです。



ヨーヨー遊びの基本バリエーション

しかしながら、これで終わりにするわけにもいかないでしょう。筆者の認識でヨーヨーを定義します。

・糸が付いていて、投げると戻ってくるおもちゃ
・その戻ってくる性質と、投げ出したヨーヨーがスリープ(空転)する性質を利用して、いろいろな技ができる

これらの性質を利用して、様々な遊びのバリエーション(プレイスタイル)が考案されています。

それは2種類に大別されます。ここでの「トリック」とは「技」と同義です。


ストリングトリック

スリープを利用して、糸を指にかけるなどしてさまざまな軌道を描いたり、ヨーヨーの溝に糸を巧みにのせる動作を伴うトリックです。

『東京タワー』や『ブランコ』などに代表される、あやとりのように糸でピクチャー(形状)を作るトリックは『ピクチャートリック』と呼ばれ、ストリングトリックに分類されます。


ルーピングトリック

ヨーヨーの「行って、戻る」性質を利用して、カウボーイの投げ縄のようなループ(円軌道)を描くトリックです。コカコーラヨーヨー時代のトリック「輪投げ」や「世界一周」は、ルーピングトリックに分類されます。



近年生み出されたバリエーション

上記2種類のプレイスタイルは、1990年末のいわゆる「ハイパーヨーヨーブーム」以前からも存在していました。しかし、1990年末のブーム以降から様々なスタイルが生み出されています。その代表的なものとして、

オフストリングトリック

ヨーヨーを糸から外して飛ばせるような状態(オフストリング)にして行うトリックで、印象としてはディアボロ(中国ゴマ)に近いです。ただし、こちらには「手元に戻せる」というヨーヨーならではの要素があるため、ディアボロとは異なる奥深さがあります。


カウンターウエイトトリック

指に糸をつけないで、代わりにダイスやスーパーボールなどの「重り」をつけ、それを持って行うトリックです。ヨーヨーを投げた後は両手が自由になるため、ヌンチャクを扱うようなトリックが可能です。


などがあげられます。ヨーヨーを投げて戻すというシンプルな性質を利用した、様々なプレイスタイルが存在しており、日々世界中で新しいトリックが開発されています。



ヨーヨーの盛んな国

盛んな国といっても、ハイパーヨーヨーブームの勢いが現在も続いている国はありません。世界各国で、細々と人知れず大会が開催されており、全国大会・世界大会ですら


ひっそりと開かれています。


マスコミでの取り上げられ方は、ニューヨークで開催されるホットドッグの早食いよりも扱いが小さいのが現状です。

ヨーヨーが盛んな(=競技人口が多い)国をあげてみましょう。


アメリカ合衆国

さすがホビー大国だけあり、1992年以降の世界大会の開催国でもあることから非常に盛んです。日本も含め世界的ブームとなったハイパーヨーヨーも、アメリカ(ハワイ)から展開されました。

日本

あまり知られていませんが、我が国はヨーヨーに関しては世界最強です。世界大会でも上位入賞者が日本人で占められているほどです。2004年にシンガポールで開催されたアジア大会でも、全部門で日本人が優勝しています。

ブラジル

全国大会が開催されるほど盛んで、世界大会でもアメリカ・日本以外で優勝者を輩出しています。

韓国

韓国でも、全国大会が開催されるほど盛んで、自国で競技レベルのヨーヨーを製造している数少ない国のひとつです。

ちなみに、現在日本でヨーヨーは製造されていません。ハイパーヨーヨーブーム時に発売されたものも、そのほとんどがアメリカのメーカーからの輸入品です。

中国(香港)

香港でも、90年末から2000年ごろまでブームがあり、現在も大会が開催されるほど盛んです。ヨーヨーメーカー大手のYOMEGA社の工場も中国にあります。

シンガポール

アジア大会の開催国で、競技者のレベルも非常に高いです。


ここではメジャーな所を紹介しましたが、ここで紹介しなかった国でも規模の大きい大会が開催されている所はあります。ヨーロッパでもハイパーヨーヨーが少し流行しましたが、現在は下火のようです。



ヨーヨーの魅力とは?

それでは、ヨーヨーの魅力とはなんでしょうか?
投げて、戻ってくる。これをキャッチしたときの快感でしょうか?

前述しましたが、ヨーヨーにはさまざまなプレイスタイルと多数のトリックがあり、練習を重ね、苦労の末成功させた時の快感があります。一般のスポーツのように、勝ち負けのはっきりしない競技なだけに、自己の達成感みたいなものと、幅の広い遊びのバリエーションが、モチベーションを保ち続けるための原動力となっているのでしょう。

筆者なりに一言でくくるならば、ヨーヨーは「遊び飽きることのないおもちゃ」でしょうか。



競技とは?

このあと多く語ることになる、競技としてのヨーヨーについても説明しましょう。ここまで書いてきた、おもちゃ・遊びとしてのヨーヨーとは方向の異なる、競技としてのヨーヨーが存在しています。

先にも書いたとおり、世界大会も開催されていますし、さまざまな国で全国大会も開かれています。ヨーヨーをオリンピック競技にしようと、世界共通のルールを策定し、同じレギュレーションで行っていこうと、色々と試行錯誤が繰り返されています。

現時点でのヨーヨーは、まだマイナーの域を出ませんが、それだけに各国の交流も盛んです。メジャーな競技であれば、国内の情報だけでお腹一杯になりますが、ヨーヨーほどマイナーな競技になると、世界中の情報を集めても十分とはいえません。

逆に言うと、少しでもまじめにヨーヨーに取り組み出すと、嫌でも英語を覚える必要があります。世界大会もアメリカで開催されていますし、ヨーヨーを製造している会社もほとんどアメリカにあります。もちろん、情報源もアメリカが主体です。ですから、ルールを勉強したいのであれば、英語を読むしかありません。

Office Black のように、世界大会のルールや関連情報を翻訳しているサイトもありますが、それも限られています。新製品情報や、新しいトリック(動画)をいち早く知りたいのであれば、やはり英語は必要不可欠です。子供に英語を覚えさせたいのであれば、ちょっとヨーヨーにのめりこませて、一度でも世界大会に連れて行けば一発ではないでしょうか?

海外のヨーヨープレイヤーとメールアドレスを交換し、チャットでもすれば自力で覚えられること受け合いでしょう。実際、そのような形で海外に興味を持ち、英語を学習するようになったプレイヤーは多数います。



競技のルール・種目

本題に戻りましょう。競技である以上、ルールがあり種目があります。

種目は大きく2つに分けられます。


スポーツ部門(ラダー部門とも)

決められたトリックを、いかにミスせずにこなせるかを競います。


フリースタイル部門

音楽に合わせてプレーを行い、全体の構成・トリック数・トリックの難易度などを総合した成果評価を競います。言うならば、フィギュアスケートのような自由演技です。

基本的に、スポーツ部門は登竜門、フリースタイルが花形という扱いです。フリースタイルが偏重されるという点では、他の競技と比べても違いはありません。

フリースタイルを詳細に書くと、フリースタイル部門には、先に書いた各プレイスタイルの部門が存在します。

ワンハンドストリングトリック(1A)

1個のヨーヨーでストリングトリックを行います。1Aと略されます。

ツーハンドルーピングトリック(2A)

2個のヨーヨーでルーピングトリックを行います。2Aと略されます。

ツーハンドストリングトリック(3A)

2個のヨーヨーでストリングトリックを行います。3Aと略されます。

オフストリングトリック(4A, OS)

ヨーヨーが糸から離れるオフストリング状態のヨーヨーを用いたトリックを行います。4AあるいはOSと略されます。

カウンターウエイトトリック(5A, CW)

指に糸をつけないで、代わりにダイスやスーパーボールなどの「重り」をつけたヨーヨーを用いたトリックを行います。5AあるいはCWと略されます。

アーティスティックパフォーマンス(AP)

ヨーヨーの種類の制限はなく、技術点が存在しません。純粋にパフォーマンスのみが評価されます。



基本的にはそれぞれのスタイルで、制限時間(主に3分)内にプレイを行います。フィギュアスケートと同様に、技術点と芸術点があります。技術点は、トリックの数・難易度で加点を行い、ミス数で減点が行われます。また、芸術点は構成・パフォーマンスなどで加点が行われます。



さいごに

皆さんも、時間と懐に少しの余裕があればお付き合いいただき、ヨーヨーというものに興味をもってくれることを望みます。